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ハワース Haworth (ブロンテ・カントリー)
West Yorkshire
観光案内サイト:http://www.haworth-village.org.uk/


「ジェーン・エア」「嵐が丘」を書いたヴィクトリア時代の作家、ブロンテ姉妹の生地であるハワースは、西ヨークシャーにあります。
子供のころに嵐が丘を読んで「いくら嵐といっても、森の中でもないのに、どうして遭難するんだろう??」と不思議に思っていたのですが、そのナゾはハワースに着いたとたん氷解しました。おりしも秋。


この霧じゃたしかに平地で迷い死ぬな。


■■ハワース探訪記■■

そんなハワースも、晴れていれば、ほんとにきれいな村です。



ヴィクトリア時代のこの村の平均寿命は異様に短かく、その理由には土地環境の厳しさや水質が悪かったことがあげられるそうです。

そんな当時の時代のムードをバッチリ味わうには、曇天最高。
なにしろ、お土産ものやさんの店先に並べてあるポストカードが、ステキにしっとりとしけっていたくらいですから。



ハワースにたどり着いたのはちょうど夕方で、町の明かりが霧にけむって、なんだか昔のたいまつの明かりのように幻想的でした。
この日は、村に近く便利ということで、ユースを利用しました。
このユースは、ちょっとそのへんのユースとは違う。

ほらこの外観です。



ふるーい建物をけっこうそのまま使っています。雰囲気カンペキ。内装も宿泊室はそっけなくベッドが置いてあるだけですが、窓枠とか古いままなので、なんだかジェーン・エアが育った寄宿学校にいるみたいな気分になれます。
廊下や扉などは17世紀の重厚な内装がそのまま残っていました。

一見ゴージャスなホテルですが、中身はユースなので、お安いです。
しかもどっかの婦人会メンバー&学生の校外学習団体と一緒で楽しかったですし。

婦人会メンバーの方達とは同室になったのですが、これがもう見事にオールドブリティッシュな旅行スタイルで、ふりふりのナイトガウンやスリッパを、その寄宿学校みたいな宿泊室に広げて、夜は聖書を読む人も。

学生たちは、ひとりの女の子が同室の子とケンカしちゃったらしく、17世紀のレリーフの柱も重々しい廊下のソファで、毛布巻いてフテ寝してました。
たしかに廊下にもヒーターがはいってて、寒いことはないけど。

翌朝、学生たちは、ユースのダイニングのそうじとかしてました。
ちょうど日本の高校1年生くらいな感じでしたが、校外学習の雰囲気って、どこの国も同じだなあって懐かしいような不思議な気分でした。


ここはごはんもトラッドスタイルで、わたしは朝食に「マッシュルーム・オン・トースト」と、「ビーンズ・オン・トースト」を食べました。
トーストに、ブラウンマッシュルームのバターいためをのっけただけのものと、ケチャップ味に煮た豆をどかっと乗せただけのものです。

ブラウンマッシュの方は、なんだか黒くてぐちゃっとしたものが乗ってるので、一見まずそうですが、ブラウンマッシュルームが香ばしくてとてもおいしいし、ビーンズの方は見た目やっぱまずそうですが、これもわりとイケます。


さて、ハワースの見どころといえば、もちろんブロンテ姉妹の小説の世界です。
ブロンテ姉妹もベルと同じように、牧師の娘でした。

ベルんち並みに貧乏だったので、姉妹は学校(私塾)を経営して月謝収入を得ようとしますが、生徒が全然集まりません。
そんな中、シャーロットがカラー・ベルという偽名をつかって書いた小説「ジェーン・エア」が出版され、人気となるのでした。
このあたりを詳しく知りたい方には、「ディケンズの毛皮のコート/シャーロットの片思いの手紙」ダニエル・プール著/片岡信 訳 をお勧めします。



□ブロンテミュージアム
当時姉妹が住んでいた牧師館が、そのままミュージアムになっています。
姉妹の部屋や居間などが公開されています。
シャーロット・ブロンテは身長150センチ程度とかなり小柄だったのですが、展示してあるドレスのほんとうに小さいこと!
私もほぼ同じ身長ですが、とてもはいらないっと思いました。手袋もとても華奢で、くつもとても小ちゃかったです。

この牧師館横の教会を抜けて、いざハワースの荒野(ムア)へ。



道にヘザー(ヒース)の枯れかけのものが。
夏なら満開の花が見られるところです。
荒れた土地を覆うヘザーの赤いじゅうたん、見てみたいです。

嵐が丘の舞台となったトップウィザンズを目指して、どんどん歩く……予定だったのですが〜〜。

どえらい霧が出てきて、なんだか右も左もわかりません。道の周りは荒野……のはずですが、全然周りが見えません。かろうじて足下が見えるくらい。

そういえばさっきすれ違った男の人は、方位磁石を持っていたっけ。

……………………




……………………

まわれ右


根性ナシです。わたしたちは雰囲気だけ味わって、とっとと荒野を後にしました。

戻り道も霧……とはいえ、この写真はかなり晴れてきた方です。
でも行く手というか右手に教会があるはずなのに、ぜんぜん見えません。



あっ教会が見えました! 

 ……………………



いかにも出そう。
っつか、いかにもヒースクリッフが、恋するキャシーの墓を掘り返してそうな墓っぷりです。墓石が緑色なのはコケです。オール苔。

この写真をもとに、「悠かなり愛し夢幻」8巻収録の"クレッシェンド"を描きました。


翌朝も霧だったのですが、まったりと周囲を散歩していたら、かわいいポニーがいたので「リンゴ食べる?」と近くによってみました。
友人「なんか…リンゴ食べるのヘタな馬だなあ」
馬 もごもご もご ←うまくくわえられない
私「馬なんだからバクっとひとくちで……って、口輪でもはめてるのかな?」
友人「………………」私「…………あ」

友人「ああっ き…きみはっ!! 馬だとおもったら、ロバだねっ!!」
私「ロバ……! ごめん! ろばの口ちっちゃいよね。今わってあげ……」
しびれをきらしたロバ、自力で前足で割ったリンゴをもぐもぐ。

つまり、ロバだか、口輪してるポニーだか、区別がつかないほど視界が悪かったということです。おそるべし、ハワースの霧。←おかげでネタが(笑)


それにしても秋に行ったせいで、雰囲気は味わえましたが、それだけではイカンと思って、夏の景色が載っている写真集も買ってきました。夏はキレイですよ〜。
それを見てはいつか夏に訪れて、満開のヘザーを見てみたいと思っています。

今度は方位磁石もって!

最後にカワイイ、ハワースの駅。



バス待ちの間に駅の写真を写していたら、駅長さんが出てきて、話し相手をしてくれました。……というか話し相手させられた??(笑)ひまそうでした。
日本語を少し勉強しているという彼は、「カワイコちゃん」とかいうアヤシイ日本語をダレに教わったのか連発していました。「わたしかわいこちゃんにしか声かけない」←ホントか!?

英日の辞書を持っていた彼は。自分の名前は、日本語では「カワリモノ」という意味の名前だと言い、「きみたちの名前の意味はなんだ?」と聞いてきました。
わたしと同行の友人は、それはそれは苦心して、自分の名前の意味を伝えることになったのでした。

ハワースの駅のおじさん。話しかけてくれてありがとう。とても楽しかったです。





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